夕焼けの空が、北川の海をほんのり染めはじめた午後五時。
ご宿泊のお客様から、フロントに一本の電話が入りました。
「つきあって五年目の記念日なので、
今夜彼女にプロポーズしたいと思っています。
急な話ですが、花束の手配はできますか?」
電話を受けた係は、平静を装いながらも内心ドキドキ……。
プロポーズの場所に望水を選んでくださったことが、本当に嬉しかったのです。
「夕食が終わるころ、花束を下駄箱の上に置いていただければ十分ですから」
彼女に気づかれないよう、早口でそれだけを伝えて電話をお切りになったお客様。
ご夕食後、
客室係はお二人をさりげなくラウンジへご案内しました。
お戻りになると、お部屋は真っ暗。
そしてテーブルの上には……
ゆれるキャンドル、五本の薔薇をメインにした花束、
よく冷えたシャンパンと調理長からの特別な一皿。
「次回は、同姓になってうかがいますね!」
翌朝のお二人の輝く笑顔で、
幸せの波紋が広がりました。
「原稿用紙一枚の物語」をお読みいただき、ありがとうございます。
ここには、望水の理想があります。
古代から現代まで、人は、物語で知恵を伝承してきました。
おとぎ話や民話の中に、たくさんの教えがつまっているように
「原稿用紙一枚の物語」にも
私たちを成長させてくれる小さなヒントが隠されていると思うのです。
「原稿用紙一枚の物語」を1ページずつ積み重ねてゆくこと……
それは、望水が理想の会社になってゆく過程そのものです。
たとえ短く、つたない文章だとしても
同じ理想を持つ仲間たちと綴っていく「原稿用紙一枚の物語」は、
望水にとってかけがえのない大切な記録。
折りにふれ、少しずつご紹介できたらと思っております。
どうぞあたたかなお気持ちで
私たちの歩みをお見守りください。
夕焼けの空が、北川の海をほんのり染めはじめた午後五時。ご宿泊のお客様から、フロントに一本の電話が入りました。「 つきあって五年目の記念日なので、今夜彼女にプロポーズしたいと思っています。急な話ですが、花束の手配はできますか?」電話を受けた係は、平静を装いながらも内心ドキドキ……
夏休み期間中、望水のフロントはとてもにぎやか。地元の林で捕まえたカブトムシやクワガタを、お子様たちにプレゼントしているからです。
おがくずを敷いた小さな虫かごに入れて手渡すと、どの子もみんな笑顔。
こちらまで嬉しくなってしまう瞬間です。
暮れも押し迫った十二月、
ご主人のお誕生日旅行を楽しまれたご夫妻がいらっしゃいました。朗らかな奥様と寡黙なご主人。何度もご来館いただいている、大切なお客様です。
お祝いの記念撮影をさせていただき、写真を望水ベアとともにお届けしました。
Mさんは、望水の二年生。
その明るさと姉御肌で、入社したての後輩達からとても頼りにされています。
親元を離れ、寮で生活しているMさんは、楽しく働く自分の姿をみせて安心させたいという想いもあり、結婚記念日を迎えるご両親に、望水での休日を贈ることにしました。