わたしの温泉時間

　久しぶりの旅は、心地よい時間を過ごせる場所へ行こう。流れる景色を楽しみながら踊り子号で向かった先は、小さな温泉町に佇む湯宿の望水。
　宿に着き、ラウンジでぼんやりと目線の高さに広がる海を眺めていたら、ゆっくり動く2艘の漁船が見えた。凪いだ海に残る航跡を目で追ううちに、なんだかとても穏やかな気持ちに。何気ないこの土地の日常の光景が、驚くほど心に染み入ってくる。
　この宿のお気に入りのひとつは、ガゼボという特別な空間で過ごすひととき。温泉と海風、そして目の前に広がる素朴な景色が独占できる。利用時刻は選べるので、出合いたい景色に合わせるのがお勧め。島と夕凪を望む午後、海面が月明かりに照らされる夜、朝焼けの色を愉しむ早朝…。いずれの時も自然がたっぷり力を与えてくれる。他にも、海辺の浜石を使ったスパトリートメントや、地場食材にこだわった山海料理、地酒を嗜みながら寛げるサロンなど、癒され元気になる要素がもりだくさん。土地の恵みや風景、そしてこの望水という空間が、疲れた心と身体に栄養を与えてくれる。そんな気がする。