「Chronos 日本版/シムサム・メディア」2007年5月号記事、写真共原本のままに使わさせていただきました。
これからも皆様にお喜び頂けますよう一生懸命頑張ります。 望水社員一同
潮汐とシエスタ
人間が水であると考えたとき、いくつかの謎は解ける。なぜ月の満ち欠けが出産に影響するのか、体内時計はなぜ25時間サイクルなのか……。月の引力が海水の満ち引きを招くように、身体の70%を占める水も、月の引力を受けて干潮や満潮を引き起こしている。こうした身体の潮汐を紐解いてみれば、答えは自然と見えてくる。 東伊豆・北川温泉にある「HEAVENLY SPA GECCA」。目の前に広がる海とともに、月のパワーを取り込む施術を、ここに見つけた。冒頭でも触れたように、月という天体は、海や人のバイオリズムに密接に関係するほどの力を秘めているのである。海と空を独占する個室で受ける、新しいスパのかたち。それは、月光をたっぷり浴びたムーンドロップスをのせて、身体に月のエネルギーを吸収させるチャクラバランシングから始まる。チャクラとは、頭頂部から腹部にかけて"気"の集まる7つの場所をさす。7つのうち、ひとつでもエネルギーが不足すると、心身がバランスを崩すことになる。そのチャクラに月石を置くことで、波紋のように月の力が満ちる感覚が、一瞬で刻まれる気がする。満ちた水の流れが速さを増すように、その後アロマオイルマッサージでは、老廃物が悪い"気"とともに排出されていく。あとに残るのは、ウェルネスバランスを取り戻した"気"と、凪のように穏やかな心と身体。確かに自分は水であることに気づく瞬間がここにある。 満月の引力が導く海水の潮差は、最大で16mにも及ぶ。それは、バイオタイドが満ちることで出産が促されることを連想させる。また、月の周期が24.8時間であることから、体内時計が太陽ではなく、月のリズムに同調していることが証明できる。青い海を枕に、贅沢なシエスタを満喫するのもいいけれど、一度はここで、その引力が最大となる満月の夜、月下の海面に触れるように、心の凪へといざなわれてみたい。