湖畔に宿る・海辺に眠る

　海に張り出したロビーの窓いっぱいに、空と海がひとつに溶け合うかのような劇的な眺望を映す「望水」。ここでは、無数の光点が跳ねる陽光の海から、月明かりが銀色の道を水面に描き出す漆黒の海までを、すべての客室から捉えることができる。露天風呂の付いた貸切スペース"プライベートガゼボ"で、パブリックスペースの可能性に新たな楽章を加えたのは記憶に新しいが、今度は男女とも利用できるスパ「GECCA」が再び美しい伝説を創ることとなった。トリートメントルームの硬質なデザインは甘さがなく、男性にとっても気恥ずかしさを感じずに済む。波の鼓動に共鳴するような至福の時間が流れて、これは新しい旅館ステイスタイルだ。借景や卓越した空間デザインは勿論、素晴らしい。だが、そうした美しさの根底で、揺ぎ無い信念が光を放つ。訪れる人をもてなす、この地ならではのまろやかな時間と空間をいかに演出するのか。真摯に思考したその結果が、他の追随を許さない真の慰藉の宿へと結晶している。